在日韓国人としての境遇

何を隠そう私は在日韓国人であった。

今現在は帰化をして日本国籍になっている。

先日のハワイ旅行の際も、初めて日本人として日本人のパスポートを握りしめて入国出国審査を受けた。

 

韓国のパスポートは緑色だ。

赤色になったパスポートに少々、寂しさを感じていた。

 

私は韓国人同士の両親から生まれ、純粋な韓国人3世になり日本生まれ日本育ちである。

父から聞いた話では、第二次世界大戦前だったか後だったか、記憶は定かでないが、出稼ぎで韓国から日本にやってきたそうだ。

 

最初は九州の方にいたらしいが、色々あって中部地方に定着した。

 

先述したとおり、私は日本に生まれ日本の中高一貫の学校に通い、大学まで進学した。

 

同じ立場の人がみたらどういう風に思うか分からないが、幸いにも両親からの教育からはあまり韓国のアイデンティティを感じるようなものではなかったと今になって振り返って思う。

 

とはいえ、幼いころから韓国を匂わせるものは、家の中や家族の中の雰囲気として溶け込んでいた。韓国ぽい民芸品があったり、祖母のことをハルモ二と呼んだり。

 

小学生の時なんとなく、自分は韓国人だと気付いた。

周りの友達と違う私は韓国人。

日本人だったら良かったのにと何度思ったことか。

 

学生時代はただ韓国人であることをひた隠しにした。

理由は2つある。

 

幼いころは今まで自分も日本人だと思っており、自分でも韓国人であることを消化しきれていないのに、カミングアウトすると自分も納得がいかないし、周りの反応やリアクションに対する応答が面倒くさいという点。

 

韓国人であるということでいじられるのではないかということが心配である点。

当時、日本に比べ時代遅れの韓国。どうしてもイメージが良くない。

やはり普通に生活していると私の友人たちもたまに韓国の悪口を言う。

そうなると余計に言いづらい。

生まれた時からあなたは韓国人だよって教えられてれば、そのように生きて振る舞い、話は別だったかもしれないが。

 

話は変わるが、恋愛に関しても韓国人であるということが非常にネックになる。

現在は結婚して子どももいるが、昔お付き合いしていた人に、私が韓国人だと家族の人に反対されるかもしれないと3人ほど言われたことがある。

お付き合いしている相手は良くても、家族がダメなパターンだ。

勇気を出してカミングアウトしたのに、そう言われるとなんとも言い難いショックを受ける。もっと早い段階で言えば良かったのだろうかと後悔する。

 

私の両親は2人とも朝鮮学校に通っていた人だ。

昔は北朝鮮の発展?もしくはプロパガンダにより、北朝鮮の方が優れていると感じていた人が多かったようだ、今となっては考えられないが。

 

いつからか途中で北朝鮮より韓国の方が発展してきて、いわゆる在日と呼ばれる人たちは国籍として韓国を選んだと聞いている。

 

それでも日本ナイズされた私だが、やはりどこか生粋の日本人とは違う何かを感じていた。

 

それは身体的特徴であったり、性格、文化など。

 

ある程度、大人になってきて、どこからか自分の中でマイノリティの方がかっこいいという風潮になってきた。

自分はいわゆる日本に住む少数派だと。

マンガやアニメでよくある逆境に立ち向かうヒーローがかっこよく見えるように。

 

多少なりとも母国の文化を楽しむ余裕も出てきたのかもしれない。

 

あんなに嫌だったら韓国人だった過去も、今となっては愛着すら感じる。

自分の置かれている立場、環境、時代、周りの雰囲気で大きく変わるものだ。

 

韓国の音楽、いわゆるK-POPが世界から注目されるようになって、非常に嬉しく思う。

 

2024年、私が小さいころに育った環境とは全く違う。

外国人に対する風潮も寛容になったと思う。

 

国籍上は日本人だが、血筋的には韓国人と日本人のハーフである息子にはどういう風に出自を教えていこうか。

 

国際化、グローバル化が進む中、あらゆる人種が偏見をなくし、仲良く住みやすい日本になればいいなと考える。